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【麻雀の起源と歴史】葉子戯から馬吊、そして骨牌へ。数千年のロマンを辿る

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みなさん、こんにちは!

私たちが雀荘やネット麻雀で何気なく触れている「麻雀牌」。

美しく彫り込まれた136枚の背後には、数千年にわたる人間の知恵と、娯楽への飽くなき追求が隠されています。

麻雀は、ある日突然完成された形で現れたわけではありません。

  • 古代中国の占いの道具

  • 宮廷で遊ばれた紙のカード

  • 軍隊での余興

これらが何百年もの時間をかけて混ざり合い、淘汰され、磨き上げられて、19世紀の中国でようやく現在の形になりました。いわば麻雀は、ゲームの進化における究極の完成形なのです。

なぜ麻雀はこれほどまでに面白いのか? なぜあの独特のデザインになったのか?

知的好奇心旺盛な皆様に向けて、教科書には載っていない麻雀の真のルーツを紐解いていきましょう。

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1. 麻雀の直系先祖「葉子戯」と「馬吊(マーチャオ)」

麻雀の歴史を語る上で、絶対に外せないのが「葉子戯(ようしぎ)」と、そこから派生した「馬吊(マーチャオ)」というゲームです。これらは明代(14世紀〜17世紀)の中国で爆発的に流行した、紙製のカードゲームでした。

■ 葉子戯から馬吊への進化

「葉子戯」は、世界最古のカードゲームの一つとも言われ、トランプのルーツとも深い関わりがあります。この流れを汲んで成立した「馬吊」は、40枚の細長い紙カード(紙牌)を使って遊ぶゲームで、現在のトランプの「トリックテイキング」に近いルールで遊ばれていました。

驚くべきは、この40枚のカードが、すでに今の麻雀の「数牌(シュウパイ)」の原型を持っていたことです。

  1. 十字(じゅうじ):後の「萬子」

  2. 万貫(まんがん):高額単位を表す「萬子」の原型

  3. 索子(さくし):現在の「索子」

  4. 文銭(もんせん):現在の「筒子」

■ なぜ「紙」から「立体的な牌」になったのか?

カードゲームだった馬吊が、なぜ重厚な現在の牌へと進化したのでしょうか。そこには3つの合理的な理由がありました。

  1. 不正(カンニング)の防止: 薄い紙カードは、裏から透かしたり爪で印をつけたりする不正が容易でした。厚みのある骨や竹で作られた牌は、こうした不正を劇的に難しくしたのです。

  2. 耐久性の追求: 当時の紙は脆く、熱狂的に遊ぶとすぐに傷んでしまいました。特に賭博として愛好される中で、一生モノとして使える頑丈な素材が求められました。

  3. 「触覚」の娯楽性: 牌を混ぜる時のジャラジャラという音、指先で模様を感じ取る「盲牌(モウパイ)」の快感。これらは紙カードでは決して味わえない、麻雀特有の官能的な魅力となりました。


2. 萬子・筒子・索子は「お金」だった?図柄に隠された当時の経済

麻雀牌のデザインを見て、「なぜこんな模様なんだろう?」と思ったことはありませんか? 実は、数牌の図柄はすべて「当時のお金(通貨)」をモチーフにしています。

① 筒子(ピンズ):銅銭そのもの

筒子の丸い模様は、当時流通していた「銅銭」を真上から見た形です。

  • 一筒(イーピン)は、大きな1枚のコイン

  • 九筒(キュウピン)は、小さな9枚のコインを並べた様子を表しています。

② 索子(ソーズ):お金を通す「紐」

昔の中国では、真ん中に穴が空いた銅銭を大量に持ち運ぶ際、麻の紐で束ねていました。この「紐で束ねたお金の束」が索子のデザインの正体です。

  • 一索(イーソー)がなぜ鳥なのかは後述しますが、二索から九索までの棒状の模様は、すべて「お金の束」を簡略化したものです。

③ 萬子(マンズ):高額な通貨単位

萬子は文字通り「万」という単位を表します。

  • 当時の中国では、銅銭1,000枚を「1貫(いっかん)」と呼び、その上の単位として「万」が使われました。

  • 「萬」の字の下にある赤い文字は、当時の高額紙幣に記されていた署名や、特定の記号が簡略化されたものという説が有力です。

つまり、麻雀を打つということは、「目の前にある仮想通貨をどう整理し、運用するか」という経済シミュレーションを視覚的に楽しんでいる側面もあるのです。


3. 竹・骨・そしてプラスチックへ。「手触り」が変えたゲームの質

麻雀牌が「工芸品」として完成された背景には、素材の進化があります。初期の麻雀牌は、プラスチックではなく天然素材の「骨牌(こっぱい)」として作られていました。

■ 骨竹牌(こくちゅうぱい)の黄金時代

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、麻雀牌の主流は「牛の骨」と「竹」を組み合わせたものでした。

  • 表面(白い部分):牛の脛(すね)の骨。密度が高く、繊細な彫刻に適していました。

  • 裏面(緑や茶色の部分):竹。湿気に強く、滑りを良くする役割がありました。

この骨と竹を「蟻溝(ありみぞ)」という高度な技法で接合し、職人が一つひとつ手彫りで模様を刻んでいました。この「天然素材の重みと冷たさ」が、麻雀を単なる遊びから、格調高い知的競技へと昇華させたのです。

■ デザインの進化と「一索の鳥」

なぜ一索だけが鳥のデザインになったのでしょうか? 諸説ありますが、最も有力なのは以下の流れです。

  1. もともとは索子の1本として描かれていた。

  2. 「お金の束」であることを示すため、紐の端を飾る意匠が工夫された。

  3. その飾りがいつしか「スズメ」や「鳳凰」に見立てられ、美しさを競うようになった。

職人たちは、自分の作った牌セットを差別化するために、一索のデザインに最も心血を注ぎました。これが、現在の多種多様なイーソーのデザインに繋がっています。


4. 19世紀、港町ニンポー(寧波)で完成された「13枚の黄金律」

麻雀が現在の形(136枚、4人打ち、13枚手牌)として完成されたのは、1860年代、中国の浙江省にある港町「ニンポー(寧波)」であるというのが定説です。

■ なぜ「4人」で「13枚」なのか?

麻雀の面白さの核心は「多すぎず少なすぎない」バランスにあります。

  1. 4人打ちの必然性: 3人だと戦略が単純になりすぎ、5人だと順番が回ってくるのが遅すぎます。4人という構成は、他家3人の動向を監視しつつ、自身の戦略を練るのに脳が最も活性化する人数でした。

  2. 13枚という絶妙な数: 手牌が10枚以下だと、役のバリエーションが作れません。逆に20枚近くあると、管理が難しくなり、あがるまでの時間が長すぎます。「3枚×4組+2枚(アタマ)」という構成を13枚(あがって14枚)で実現したのは、人類が生み出した最高の数理パズルといえます。

■ 花牌(ハナハイ)の淘汰

かつての麻雀には、現在の136枚以外にも「春夏秋冬」などの花牌が大量に含まれていました。しかし、日本に伝来する過程や競技性が重視される中で、運の要素が強すぎる花牌は徐々に削ぎ落とされ、現在の洗練された枚数に落ち着いたのです。


5. なぜ「麻雀(スズメ)」と書くのか?孔子伝説と竹林のさえずり

最後に、最も身近な謎である「名前」について触れましょう。中国語では「マージャン」と発音しますが、もともとは「麻雀(マーチュエ)」、つまりスズメを意味します。

■ 由来1:牌を混ぜる「音」

最も有力な説は、牌をかき混ぜる時の「ジャラジャラ」という音が、竹林に集まった数千羽のスズメがいっせいにさえずる声に似ていたから、というものです。風流な命名ですね。

■ 由来2:孔子創設説

知的な雑学として有名なのが、儒教の祖・孔子が考案したという説です。

  • 孔子が世界を旅した際、自らの思想(三徳:智・仁・勇)を広めるために「中・發・白」を作ったという伝説。

  • 孔子が鳥(スズメ)を愛でていたことから名付けられたという説。 歴史学的には否定されていますが、麻雀の格式を高めるために後世の人が作った、非常に美しいロマンです。

■ 由来3:軍隊の「見張り番」説

索子の模様を「矢」、筒子の模様を「盾」に見立て、軍隊の訓練用具として開発されたという説もあります。この中で、食糧を盗むスズメを追い払うことがゲームの目的だったという、少しユニークな由来も語られています。


6. 【まとめ】文化のバトンを繋ぐ。歴史を知れば、一打の重みが変わる

いかがでしたでしょうか。 麻雀の歴史を辿ることは、人間がいかに「面白い遊び」を作るために情熱を注いできたかを知ることでもあります。

  • 馬吊(紙カード)から引き継がれた論理

  • お金をモチーフにした美しい意匠

  • 職人の手仕事が生んだ「牌」というデバイス

これらすべての要素が、あなたの手の中にある牌には刻まれています。

次にあなたが牌を握るとき、それが単なるプラスチックの塊ではなく、数世紀の時を超えて磨き上げられた「文明の結晶」であることを思い出してみてください。そうすれば、いつものリーチ判断や安牌の選択も、歴史のバトンを受け継ぐ神聖な行為に感じられるはずです。

麻雀の歴史は、今も私たちが卓に座ることで更新され続けています。さあ、今日も先人たちが愛したこの深淵なる宇宙へ、繰り出しましょう。

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